焼肉や鍋料理でも食べられているホルモンですが、実際にそれぞれ牛のどこの部位にあるのかご存知でしょうか。脂や内臓の濃厚な旨味を感じられるホルモンが好きな方も多いなかで以下のような声もあります。
「それぞれの特徴を知りたい」
「ホルモンとモツの違いはあるの?」
「美味しいホルモンはどこで手に入るの?」
そこで本記事では、部位別にホルモンの特徴やおすすめの食べ方を紹介していきます。記事を最後まで読んでいただくことで、自分に合ったホルモンを見つけることができるようになるでしょう。
目次
牛のホルモンとは内臓系の部位のことで、4つの胃袋や腸、肝臓、心臓などがあります。ホルモンは脂が多い部位のイメージをする方も多いかもしれませんが、脂が少ないタンやレバーもホルモンに分類されます。
一部の焼肉店では内臓系の部位をまとめて「ホルモン」として提供しているところもあるので、正確に部位の特徴をあまり知らない方も多いでしょう。次に牛のホルモンについて部位別に紹介していきます。
ミノは牛の第一胃にある部位で、4つの胃袋のなかでも最も大きいホルモンです。切り開いたときの形が蓑笠に似ていることから「ミノ」と呼ばれるようになりました。
ミノは「上ミノ」と「ミノサンド」の2種類にわけられます。取れる量は同じくらいです。
上ミノは弾力のある食感で噛めば噛むほど旨味があふれ出る食感に対し、ミノサンドはコリコリ感とジューシー感を一度で味わえます。また、ミノは臭みが少ないため、焼肉や刺身でも美味しく食べられます。
センマイは牛の第三胃袋にあり、何枚ものヒダがあることから「千枚(センマイ)」と呼ばれるようになったホルモンです。見た目は黒っぽいですが、ホルモンのなかでも低カロリーでコラーゲンやミネラルが豊富に含まれています。
コリコリとした食感でさっぱりとした味わいなので、脂が多いホルモンが食べられない方でも食べやすいでしょう。
また、ヒダの部分は歯切れがよく、湯引きで下処理すると臭みが少なくなるので、センマイ刺しで食べるのがおすすめです。センマイの根元の部分を焼くと弾力のあるジューシーな食感を楽しめます。
ハラミは見た目が赤身肉のように見えますが、実は牛の横隔膜にあるホルモンです。焼肉でも人気の部位なので、食べたことがある方も多いでしょう。ハラミには太い筋繊維が密集されているので、焼くとジューシーな食感を味わえます。
噛み切れるくらいのやわらかさがあるので、老若男女問わず好きな方が多いでしょう。また、脂っぽさがなく、肉本来の旨味を十分に味わえるので、胃もたれの心配はありません。
牛のレバーは肝臓にあたる部位で、味や食感に特徴があるため、好みが分かれるホルモンですが、非常に栄養価が高いことでも知られています。レバーにはビタミン類、鉄分が豊富に含まれているので、普段の食事で不足しがちな栄養素を一度で摂取できます。
また、口当たりがなめらかで程よい弾力と濃厚な食感を楽しめます。レバーは焼きすぎに気をつけながらタレと一緒に食べるのがおすすめです。生の状態では食中毒のリスクがあるので必ず火を通してから食べましょう。
シマチョウは牛の大腸にあるホルモンで、縞模様の身の部分が特徴的です。地方によっては「テッチャン」とも呼ばれており、プリプリな食感のホルモンとして知られています。牛一頭からはわずか3〜5kgしか取れない希少部位で、噛むほど脂の甘味と濃厚な味わいが感じられます。
シマチョウの下処理は少し手間がかかりますが、臭みがなくなるので、焼肉やもつ鍋で食べても美味しいでしょう。焼くだけでも旨味が残るので、いろんな料理に合わせられます。
タンは牛の舌のホルモンで、焼肉でも人気のある部位として知られています。脂が少なく、なめらかさと歯切れの良い食感が好きな方も多いでしょう。タンにはタンパク質やミネラルが多く含まれており、食べやすいことでも女性に人気です。
また、薄切りでしゃぶしゃぶにして食べたり、新鮮なタンであれば、そのまま刺身でも食べられます。タンにはさまざまな種類がありますが、そのなかでも特に黒タンがおすすめです。黒タンはタンのなかでも上質なので、脂と旨味のバランスが良い黒毛和牛を選ぶといいでしょう。
ギアラは牛の第四胃にあるホルモンで、噛みごたえのある食感と濃厚な脂の旨味が強い部位です。ホルモン独特の臭みがないので、そのまま焼いても美味しく食べられます。
また、ギアラの表面にはつやのある赤みがあることから「赤センマイ」とも呼ばれており、焼いて食べるとジューシーな食感が楽しめます。
ギアラには赤センマイのほかに「ギアラ芯」と呼ばれる種類にわけられ、肉厚で旨味が感じられるホルモンとして人気です。野菜と一緒にホルモン炒め、もつ鍋におすすめです。
ツラミは牛の頬にあるホルモンで、牛が頻繁に動かすことで筋が多いため、焼肉では薄切りで提供されることが一般的です。ツラミにはタンパク質やゼラチンが多く含まれており、弾力のある食感と濃厚な旨味が感じられるため、煮込み料理に向いています。
煮込み料理で食べるなら、ほろほろになるまで煮込むのがおすすめです。牛すじ煮込みや韓国料理のソルロンタンでは多く使われており、スープ料理に入れるならツラミ一択でもいいでしょう。
焼いて食べる場合は軽く火を通すくらいが丁度よく、焼きすぎると硬くなるので注意が必要です。
ハツは牛の心臓にあるホルモンで、鉄分やビタミンが豊富に含まれているため、免疫力向上や疲労回復に効果が期待できます。繊維質なので焼いても歯切れがいい食感が人気です。
食べた時の舌触りがなめらかで濃厚な旨味が感じられます。味はレバーよりもあっさりしており、クセが少ない部位です。実際にレバーは苦手だけど、ハツなら食べられる方も多いようです。
また、鮮度の良いハツであれば、丁寧に下処理を行ったうえでハツ刺しがおすすめです。焼肉で食べる場合は焼きすぎると硬くなるので、火加減に注意しましょう。
ハチノスは牛の第二胃にあるホルモンで、蜂の巣のような形が特徴です。牛の胃袋のなかではあっさりとしているので、濃い味付けと相性が良い部位です。未処理の状態では硬くて臭みがあるので、調理する前に表面の黒い皮をはがすといいでしょう。
また、ハチノスにはタンパク質や亜鉛、ビタミンB12などが多く含まれているので、健康維持に必要な栄養素を補えます。焼肉で食べる時は圧力鍋でやわらかくしてから焼くのがおすすめです。トリッパのトマト煮込みとしても美味しく食べられます。
ホルモンとモツは似ているようで正確に使い分けると意味が異なります。どちらも内臓系の部位を指していますが、地域で呼び方が異なったり、部位に限定されて呼び方を変えているようです。
ホルモンは牛や豚の腸を指す言葉として使用されており、かつては捨てられていた部位だったと言われているので「放るもん(捨てるもの)」から「ホルモン」と呼ばれるようになった説があります。
一方でモツは牛、豚、鶏の内臓を全般的に指していますが、最近ではホルモンもモツと同様の意味で使われています。モツは全国共通なので「モツ鍋」や「モツ煮」のように料理名にも多く使用されています。
牛のホルモンは希少部位で入手が難しいものも多く、一般的なスーパーマーケットや精肉店では取り扱っていない場合があります。欲しいホルモンを手に入れるなら通販がおすすめです。
通販であれば、探す手間がなくなるので自宅に届くまで待つのみです。通販では不安という方は牛の種類や産地を確認しましょう。たとえば、国産とオーストラリア産の牛では風味や肉質が異なるので、人によっては好みが分かれると思います。
牛のホルモンを選ぶなら国産の黒毛和牛がおすすめです。国内の厳しい基準をクリアした牛が厳選されているので、安心して美味しいホルモンが食べられます。この機会に食べてみたいホルモンを試してみましょう。
今回は、部位ごとに個性の光る味わいや食感が魅力のホルモンについてご紹介しました。ぜひ食べてみてください。
ひとくちにホルモンなどの話をしても、輸入牛肉と黒毛和牛とではまったく違ってきますし、買い付けの目利きやその生産者のポリシーによっても異なってきます。美味しい牛肉は、効率ばかり求めてもつくれるものではありません。
より美味しいお肉を届けたいという強い想いを大切にし、ひたすら味にこだわりお客様にお届けすることを心がけています。ホルモンについて知っていただくとともに、私どもヤザワミートという精肉卸のことも知っていただければ幸いです。