昭和48年に和食店として「うずら」は麻布十番でスタートしました。お父さん(永田晃一さん)とお母さん(妻:芳子さん)ご夫婦二人で切り盛りするお店でした。
はじめは多岐にわたる和食を提供していたこの店は、次第にくじらを専門に扱うようになり、平成20年には白金高輪へと移転しました。
半世紀にわたり愛され続け、夫婦で営む温かな店として親しまれてきた「うずら」ですが、店主が急逝し、一時はその歴史に幕を閉じるかに思われました。
しかし、お客様の笑顔をもう一度見たいというお母さんの強い思いと、応援してくれるスタッフの支えがあって、店は再びその灯をともし、リニューアルオープンを果たしました。
50年にわたる伝統の味は、今も変わらぬものとして親しまれています。
その「うずら」の名物料理である「くじらのはりはり鍋」は、関西からの常連客が店に紹介し、その後、店主であるお父さんがスッポン鍋の生姜汁から着想を得て完成させた逸品です。
京水菜、おあげ、鯨肉、そこに生姜を加えることで、従来の醤油ベースのはりはり鍋にはなかった独特の風味を生み出しました。
生姜の加わったこのはりはり鍋は、鯨肉の風味をさらに豊かにし、滋養強壮にも効果的な逸品として、30年前に登場して以来、瞬く間に名物メニューとなりました。
この度、この味を多くの人々に届けるために、バリュート百貨店を通じて「くじらのはりはり鍋」を提供することになりました。
この料理には、常連客との交流、店主の創意工夫、そして何よりも時を超えて受け継がれる「うずら」の物語が詰まっています。